もちろん、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。燃料費の高騰や設備の老朽化、そして深刻な後継者不足。廃業の危機に直面した施設も少なくない。その暗雲を払ったのは、血縁関係にとらわれない「第三者承継」という新たな波だった。
IT企業出身者やクリエイティブ業界の若手が湯守の意志を継ぎ、経営に参入。クラウドファンディングを活用した設備改修や、SNSを通じた積極的な情報発信、さらにはアーティストとのコラボレーション企画など、従来の銭湯経営にはなかったアプローチが次々と実を結んだ。伝統の火を絶やさないという覚悟を持った異業種からの挑戦が、街の景色を鮮やかに塗り替えている。