2016年、日活が立ち上げた「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」の第一弾として公開された『アンチポルノ』。この作品こそ、冨手麻妙という表現者の名を映画史に決定づけた記念碑的一作だ。フェミニズム、アイデンティティの崩壊、そして支配と被支配の逆転劇。園子温監督が仕掛けた極彩色の密室劇のなかで、冨手は文字通り身も心も投げ出し、主役・京子を演じきった。
カメラの前で激しく叫び、服を脱ぎ捨て、定型化された女性像を粉砕していく彼女の鬼気迫る佇まいは、観客を圧倒した。「脱ぐこと」へのステレオタイプを逆手に取り、暴力的なまでのエネルギーへと昇華させたその演技は、国内外の批評家から絶賛を浴びる。日活ロマンポルノの伝統を継承しつつも、完全に新しいカルト映画のマスターピースとして現在も語り継がれている。