「平服」という漢字は「平らな服=普段の服」と読めるため、日常の私服と誤解されがちです。しかし、日本の礼法における平服とは、正礼装(モーニングコートや打掛など)や準礼装(タキシードやディレクターズスーツ、セミフォーマルドレス)ほどかしこまる必要はないものの、「礼を失しない最低限のフォーマルな装い=略礼装(インフォーマル)」を意味します。
主催者が「平服でお越しください」と案内する背景には、「わざわざ高価な礼服やモーニングを新調・レンタルして過度な負担を負わないでほしい」という出席者への配慮や気遣いがあります。決して「何を着てきても自由」という意味ではありません。この配慮を履き違えてTシャツ、スウェット、スニーカーなどのカジュアルウェアで出席すると、主催者の好意を踏みにじり、会場の品位を損ねる原因となります。
礼装には明確なヒエラルキーが存在します。格式の序列を正しく把握することが、あらゆる席で失敗しないための第一歩です。