彼が一躍脚光を浴びたのは、2026年の大晦日に行われた『RIZIN.33』の舞台だった。RIZIN FIGHTING FEDERATIONが主催する日本最高峰の格闘技イベント。超満員のさいたまスーパーアリーナで、彼はフィニッシュに鮮やかなサッカーボールキックを叩き込み、見事なTKO勝利を収めてみせた。父の代名詞でもあるサッカーの技術を感じさせる一撃は、偶然か必然か。彗星のごとく現れた新星に、総合格闘技(MMA)ファンは熱狂した。
だが、華やかなデビューの裏には泥くさい苦闘がある。彼が自らを追い込む拠点として選んだのは、レスリング元日本代表の宮田和幸が主宰する「BRAVE GYM」だ。日本屈指のハードな練習環境で知られる同ジムで、彼は連日、汗と血にまみれながら基礎を叩き込まれてきた。甘えを一切排除した環境で培ったレスリング力と打撃の技術。勝ち星と敗戦の双方を経験しながらも、一歩一歩着実にファイターとしての底力を引き上げている。