高級食パンブームの象徴といえば、奇抜な店名と鮮やかな看板で一世を風靡したベーカリープロデューサー岸本拓也氏の手がけた店舗群や、パイオニアとして市場を牽引した乃が美ホールディングスである。日経ビジネス等の経済誌でも特集された通り、彼らのビジネスモデルは日本の食文化に一時的な旋風を巻き起こした。
だが、「高級食パン専門店 乃が美」をはじめとする大手ブランドであっても、急拡大の反動を回避することはできなかった。話題性が先行するマーケティング手法は、消費者の「一度は食べてみたい」という好奇心を刺激するには最適だったが、リピーターを定着させる持続力には欠けていた。一時期の爆発的な売り上げを前提とした店舗展開は、ブームの沈静化とともに大きな歪みを生み出したのだ。