獲れたての生のイカを食べる際、口内で破裂・突き刺さる「イカの精莢」の危険性は決して都市伝説ではない。噛み砕こうとした瞬間、精莢の先端から鋭い針状の構造(精子構造体)が微小な速度で射出され、口腔粘膜へ物理的に潜り込む。刺さった部位は局所的な腫れや鋭痛を伴い、アニサキスなどの寄生虫被害と勘違いされることも多い。
万が一、口の中に刺さってしまった場合の適切な対処法は、パニックを起こさずに抜去を試みることだ。鏡を見ながらピンセットで慎重に根元をつまんで引き抜くのが基本となる。刺入部が深かったり、数が多い場合は無理に引っ張らず、速やかに耳鼻咽喉科や歯科、皮膚科を受診したい。うがいだけで自然に取れるケースは稀であり、放っておくと粘膜の炎症が化膿へつながるリスクがある。