多摩説とタイムマシン説を巡る議論は、メディアでのメンバー自身の奔放な発言によって、長年にわたりファンの間で愛ある“ネタ”として楽しまれてきました。
1980年代後半、深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』などのフリートークで、小室哲哉や木根尚登は「本当は多摩なんだけどね」と冗談めかして口にすることがありました。当時、地方のリスナーや純粋な10代のファンからは「そんなはずはない、絶対にタイムマシンだと思っていた!」という驚きとショックの声が寄せられ、ハガキ職人たちの格好の題材となったものです。
平成から令和にかけてバラエティ番組に出演した木根尚登は、このエピソードを鉄板のトークテーマとして昇華させています。「デビューする時、スタッフから『多摩ネットワークじゃカッコがつかないからタイムマシンにしておこう』と言われた」「実は僕がエアギターだったことと同じくらい、多摩だったことはみんなに笑われる」といったエピソードを飄々と語る姿は、お茶の間の爆笑を誘いました。
SNSやネット掲示板のコミュニティを分析すると、この「二重構造」に対するファンの愛着は非常に深いことが分かります。 「洗練された近未来サウンドの裏に、多摩のローカルな土臭さがあるのがTMの最大の魅力」 「あれだけカッコいい音楽をやっておきながら、ルーツが“多摩”だと笑って話せる3人の関係性が好き」 といった声が圧倒的多数を占めています。完璧な虚構(タイムマシン)と、温かい現実(多摩)。このギャップこそが、半世紀近くファンを惹きつけ続ける強力な人間味の源泉となっています。