庭園管理のなかで最も技術的な難度が高いのが、芝生の中に生え茂る雑草の駆除です。「除草剤を撒いたら自慢の芝生まで全滅した」というトラブルは毎年多発しています。この失敗を防ぐ鍵は、イネ科植物と広葉植物の生体構造の違いを利用した芝生除草剤散布方法の習得にあります。
日本の一般家庭に多いコウライシバやノシバなどの「日本芝(暖地型芝)」に侵入したスギナ、クローバー、オオバコ、タンポポなどの広葉雑草に対しては、選択性除草剤(2,4-DやMCPP、アージラン液剤など)を用います。これらは広葉雑草ホルモンを撹乱して枯死させつつ、イネ科である日本芝にはダメージを与えません。
ただし、ここにも決定的な落とし穴が2つ存在します。1つ目は芝生の種類による制限です。ベントグラスやケンタッキーブルーグラスといった西洋芝(寒地型芝)を導入している場合、日本芝用の選択性除草剤を使用すると西洋芝ごと枯れてしまいます。購入前に自宅の芝の品種を100%特定しなければなりません。
2つ目は気温条件です。選択性除草剤は気温が30度を超える真夏の猛暑日に散布すると、芝生自体の代謝許容量を超え、芝が褐色に変色する「薬害(葉焼け現象)」を引き起こします。春先の萌芽期(4〜5月)または初秋(9月下旬〜10月)の穏やかな気候の日に、規定倍率を正確に守って散布することがプロの鉄則です。