江戸時代の司法制度において、自白を得るために合法的に行われていた過酷な拷問の代表格が「石抱(いしだき)」である。この凄惨な拷問の土台として使われていたのが、まさに正座の姿勢だった。
石抱きの構造は極めて残虐だ。まず、取り調べを受ける罪人を「算盤板(そろばんばん)」と呼ばれる断面が三角形の角材を隙間なく並べた木板の上に正座させる。尖った木角の上に全体重を乗せて正座させられるだけで、すねや足の甲には耐え難い激痛が走る。
さらにその大腿部の上に、1枚あたり約45〜50キログラム(10貫前後)の平らな「伊豆石」を重ねていく。石が2枚、3枚と増えるにつれ、100キロを超える重量が算盤板の角を通じて骨と筋肉を圧迫する。記録によると、5枚から8枚もの石を積まれることもあり、受刑者は皮膚が裂け、肉が壊死し、骨折や出血性ショックで命を落とすことも珍しくなかった。正座という関節の逃げ場がない構造を最大限に悪用した拷問であった。