沖ノ鳥島が国策として手厚く保全されるようになった大きな契機の一つが、2005年の石原慎太郎東京都知事(当時)による現地視察だ。自ら現場に足を運び、プレートの設置や周辺海域の活用策を力強く打ち出した行動は、内外に大きな波紋と強烈なインパクトを与えた。このアクションを機に、国際法上の扱いを巡る議論に対し、実効支配と具体的活用を可視化する施策が本格化した。
現在、観測施設の維持管理は国土交通省が主導し、巨額の技術と予算を投じて風化や侵食を防ぐ工事が継続されている。観測架台を支える特殊構造やチタンネットによる防護工法は、過酷な塩害に耐えうる日本の土木技術の集大成と言える。一政治家の強い主権主張から始まった動きは、今日においてきわめて高度な国家インフラ維持事業として機能している。