「長」という苗字に出会った際、最も多くの人が頭を悩ませるのがその読み方です。結論から言えば、「おさ」「ちょう」の双方が正しい読み方として定着しています。さらに極めて稀なケースとして「なが」「おさむ」「たける」と読ませる家系も存在します。
この読みの分岐は、言葉の成り立ちと家の歩んできた歴史に起因しています。「おさ」という読みは、集団の頭領や首長を指す大和言葉の「長(おさ)」に由来する訓読みです。古くから集落のリーダーや特定の役職を務めた家柄が、その職掌をそのまま苗字とした場合に多く見られます。
一方の「ちょう」は音読みであり、武家としての格式や威厳を重んじて音読を採用した武士団の流れを汲んでいます。特に能登を本拠地とした武家一族は代々「ちょう(長氏)」と名乗り、これが北陸地方を中心に広く受け継がれました。現在でも東日本や北陸では「ちょう」、九州や西日本の一部では「おさ」と呼ばれる割合が高い傾向にあります。