波音が心地よい請戸(うけど)漁港。競り市場の活気あふれる掛け声は、かつての豊かな港町の記憶を強烈に呼び覚ます。親潮と黒潮が交錯するこの海域で獲れる「常磐もの」のヒラメやカレイは、築地から豊洲へと引き継がれた伝統の市場でも屈指の高級魚として高い評価を受けてきた。
2026年の請戸が凄まじいのは、伝統の職人技に最先端テクノロジーを高度に融合させた点にある。水揚げされたばかりの鮮魚は、超急速冷凍技術とトレーサビリティシステムによって、わずか数分で厳格なデータ管理下におかれる。AIを用いた品質管理と水陸一体型のコールドチェーンにより、欧米やアジアの主要都市の高級レストランへ「水揚げ直後の鮮度」のまま直送される仕組みが完成した。風評被害という長年の苦難を乗り越え、いまや請戸の魚は世界基準の「クリーン&プレミアムブランド」として返り咲いている。