池の上にたたずむ高さ約12.5メートルの木造2階建て建築「復元楼閣」。弥生時代の建物といえば竪穴住居や高床倉庫を連想する人にとって、この独特のプロポーションと屋根飾りは強烈なインパクトを与えます。なぜこのような奇抜とも思える建築物が、この奈良盆地に復元されたのでしょうか。
その根拠となったのは、1991年の発掘調査で出土した「楼閣が描かれた弥生土器片(絵画土器)」です。わずか数センチの土器片に刻まれていたのは、2階建ての建物と、屋根から突き出す4本の渦巻き状の飾りでした。考古学界に衝撃を与えたこの大発見をもとに、建築史・考古学の専門家による徹底的な時代考証が進められ、1994年に唐古池の南西端へ忠実に復元されました。
当時の研究員や発掘調査関係者の記録によると、この渦巻き飾りは「霊魂が宿る鳥」あるいは「蛇や水の神」を模したものとする説が有力です。単なる見張り台(物見櫓)にとどまらず、集落の首長が司祭として神事を執り行い、遠方からの来訪者に対して圧倒的な権威を示す宗教的・政治的モニュメントであったことが判明しています。水面に映り込む楼閣の威容は、弥生時代の人々が抱いた自然への畏怖と高度な建築技術を今に伝えています。