左足に限らず、片足だけに浮腫が現れた際に鑑別すべき疾患は限られています。進行速度や痛みの有無によって危険度が大きく分かれるため、自身の足の状態と照らし合わせる必要があります。
1. 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
足の深い部分を走る静脈に血のかたまり(血栓)が詰まる疾患です。特徴は「数時間から数日のうちに急速に腫れ上がる」点にあります。ふくらはぎを握ると強い圧痛があったり、皮膚が赤紫色に変色したりします。この血栓が血流に乗って肺動脈を塞ぐと「肺血栓塞栓症」を引き起こし、急性心不全や呼吸困難によって突然死に至る極めて危険な病態です。
2. 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れ、血液が足にうっ滞する病気です。血管がボコボコと浮き出るタイプだけでなく、外見上は目立たずに「片足だけが慢性的に重だるい」「夜中にこむら返りが頻発する」という潜伏型も存在します。命に直結することは稀ですが、皮膚炎や潰瘍へ進行することがあります。
3. 蜂窩織炎(ほうかしきえん)
皮膚の小さな傷や水虫などを侵入経路として、皮下組織に細菌が入り込み化膿性炎症を起こす感染症です。むくみとともに、患部が赤く腫れ上がり、触れると火照るような熱感と激痛が生じます。38度以上の発熱や悪寒を伴うケースが多く、抗生剤による迅速な治療を怠ると敗血症へ悪化するリスクを孕んでいます。
4. リンパ浮腫
リンパ液の回収ルートが滞ることで生じます。子宮がんや卵巣がん、前立腺がんなど骨盤内の手術でリンパ節郭清(切除)を行った後や、放射線治療の数年後に発症するケースが典型的です。初期は痛みがほとんどなく、足の甲から指先までパンパンに膨らみ、指で押しても跡が戻りにくい硬い浮腫へと移行していきます。