そもそも彼のアニメーション表現が世界的な注目を集めるきっかけとなったのは、漫画家・大橋裕之による独特の脱力感あふれる原作との出会いだった。楽器すら触ったことのない不良高校生たちが思いつきでバンドを組むというシンプルな筋書きに、圧倒的な映像の躍動感が吹き込まれた。
大橋裕之が描く独特の間と一見シンプルな線画。それを映像化するにあたり、単なるギャグアニメにとどめず、一癖も二癖もある青春映画として昇華させた手腕は異例だった。登場人物たちの視線、沈黙の空気感、そして爆発する衝動。原作の魂を一切損なうことなくスクリーンへ焼き付けたプロセスこそが、世界中の観客の心を掴んだ要因だ。