吉本家という強烈な個性が集う家庭環境において、長女であるハルノ宵子は独特のポジションを保ち続けてきた。幼少期からサブカルチャーや漫画への深い愛着を持ち、独自の感性を研ぎ澄ませてきた彼女。周囲が「吉本隆明の娘」「吉本ばななの姉」というラベルで見る中、本人は至ってマイペースに自身の表現を追求した。
食卓を囲む日常の風景の中に、思想議論と少女漫画の批評が同居する不思議な空間。家族だからこそ知る父・隆明のお茶目な素顔や、妹・ばなながデビュー作を発表した当時の家の中の熱気など、ハルノ宵子の語る家族秘話には、他では絶対に味わえないリアリティと愛憎交じる温もりがあふれている。