物語の軸を担うのは、圧倒的な存在感と確かな演技力で観客を魅了し続ける松本若菜と、泥臭くも繊細な役柄で異彩を放つ渡辺大知の二人だ。本作で二人が演じるのは、過去の傷を抱えたまま過疎化が進む山あいの村で再会する幼馴染という極めて複雑な役柄である。
クランクイン直前のインタビューで、主演の二人は「台本を読んだ瞬間に全身の血が騒いだ」と口をそろえた。互いの腹を探り合いながらも惹かれ合う絶妙な距離感を、一切の無駄を省いた静かな芝居で表現。特に物語中盤、旧校舎で繰り広げられる15分間に及ぶワンカットの長回しシーンは、2026年の日本映画史に深く刻まれる名場面になるとの評価がすでに高まっている。