「パカパカと鳴る竹の音を聞くと、身体が勝手に動き出すんです」
そう語る現場の保存会若手メンバーの表情には、誇りと情熱がみなぎる。かつて春駒は、首から馬の頭の型を吊り下げ、あるいは竹馬に跨がり、春の訪れとともに家々を訪れて祝詞を唱える予祝(よしゅく)の芸だった。養蚕の繁栄や悪霊払いを祈願する身近な民俗行事である。
それが2026年、世界的な「ディープカルチャー体験」の需要高まりとともに一変した。観客は見物人にとどまらない。跳ね、唄い、拍手を送る。参加型の祝祭空間へとダイナミックにアップデートされた。SNSのショート動画では、馬頭を振る独特のステップが世界中に拡散。古風な節回しと現代的なビート感が不思議な中毒性を生み、海外の若者たちがこぞって真似をする光景も日常茶飯事となった。