彼女の魅力は、何と言ってもその「弱さ」にある。鬼といえば人を喰らい、傲慢で冷酷な怪物というイメージが強い。だが、零余子は違った。柱を見るたびに逃げ出そうとしていたという設定や、無惨の思考読みに対して「そんなことは考えていない」と怯えながら否定する姿は、あまりにも人間臭い。恐怖に震える大きな瞳と、ツノが生えたどこか幼い容姿のギャップが、読者の保護欲を刺激したのだろう。
強大な力を持つ十二鬼月でありながら、精神的には極めて脆弱。このアンバランスさが、彼女を単なる「やられ役」から「記憶に残る悲劇のキャラクター」へと昇華させたのだ。