母・福田和子が2005年に和歌山刑務所で脳梗塞により倒れ、そのまま病死した後、長男はある大きな決断を下す。メディアの取材に応断じ、自らの手記を発表したのだ。そこに記されていたのは、母を世間の怪物として突き放す姿でも、単に擁護する姿でもなかった。
自分を愛してくれた母親への情愛と、人を殺めた犯罪者への憎しみ。その相反する感情に引き裂かれながらも、被害者遺族への深い罪悪感を胸に刻む男の等身大の言葉だった。「凶悪犯の家族」という無機質なラベルを剥がし、一人の人間として苦悩を明かした彼の告白は、当時の社会に強い衝撃を与えた。