日本のテレビ史において、「嫌われる表情」をエンターテインメントの領域まで高めた金字塔といえば、TBSテレビで放送され社会現象を巻き起こした『半沢直樹』だろう。作中で大和田常務を演じた香川照之の圧巻の演技は、視聴者の語彙に「顔芸」という言葉を強く深く刻み込んだ。
眉を極限まで吊り上げ、瞳孔を開き、口元を歪ませる。あれは単なるオーバーアクションではない。劇中の権力闘争と人間の業、焦燥感を肉体化させた結果生まれた迫真の表現だ。視覚的な強烈さで視聴者の目を釘付けにし、カタルシスを生み出す手法は、日本のドラマ演出における一つの到達点となった。