福島第一原子力発電所の事故は、数多くの社会派ヒューマンドラマや災害ノンフィクションとして語り継がれてきた。その代表格が、門田隆将の徹底取材に基づくノンフィクションを映画化した『Fukushima 50』と、前述の『THE DAYS』である。
映画『Fukushima 50』で佐藤浩市が演じた当直長と、渡辺謙が演じた吉田所長の重厚な師弟愛。そして『THE DAYS』で役所広司が見せた、疲弊しきった身体で苦渋の選択を重ねる吉田の凄み。名優たちがスクリーンに刻み込んだのは、超人的なヒーロー像ではない。手が震え、声を枯らし、部下を死地へと送り出す痛恨の痛みに引き裂かれそうな「一人の生身の人間」としての指揮官の姿だった。これらの作品群は、現場にいた名もなき技術者たちの誇りと絶望を、世界中の記憶に焼き付ける役割を果たした。