児島令子氏の代表作として真っ先に名前が挙がるのが、アパレルブランド「earth music&ecology」のスローガン「あした、なに着て生きていく?」です。女優の宮﨑あおい氏が名曲を口ずさむ印象的なCMとともに展開されたこのコピーは、日本の広告史に残る大ヒットとなりました。
この名フレーズが誕生した背景には、単に「かわいい服を売る」という商業的な枠組みを超えた、深い人間観察がありました。服を選ぶという行為は、朝起きてから家を出るまでの単なる作業ではなく、「今日という一日をどういう気持ちで過ごすか」「どんな自分で世界と向き合うか」という意思決定そのものです。
制作当時、アパレル広告の多くはトレンド感やスタイルの良さを競い合っていました。しかし児島氏は、服を着る人の生活そのものに目を向けます。「あした、なに着て生きていく?」という問いかけは、服を選ぶワクワク感だけでなく、日々の生活に対するささやかな決意や、時には不安を抱えながらも前を向く女性たちのリアルな感情を完璧に掬い上げました。服と生き方を直結させたこのアプローチによって、ブランドは爆発的な共感を獲得することに成功したのです。