作詞を担当した松本隆の筆致も、この楽曲に永遠の命を吹き込んだ決定的な要素だ。松本が描いたのは、具体的な土地の名前ではなく、誰もが胸の奥に抱く「心の北回帰線」とも言うべき原風景である。「北国の旅の空」「想い出は通り過ぎても」といった言葉が紡ぐノスタルジーは、聴く者それぞれの心象風景を鮮やかに呼び起こす。
当時隆盛を極めていたニューミュージックの洗練された詩世界と、重厚な昭和歌謡の情緒が見事に融け合っている。都会的でスマートな言葉選びでありながら、小林の喉を通ることで土着の力強さと普遍的なロマンへと昇華される。言葉とメロディ、そして声。三位一体の完璧なバランスがここにある。