こうした摘発の背景には、単なる犯罪取り締まりを超えた政治的意図が存在する。習近平国家主席が掲げる「道徳建設」と社会統制の強化政策は、国民の私生活や価値観にまで及んでいる。国家の規律を乱す「精神的汚染」の排除は、政権にとって極めて優先度の高いイデオロギー課題なのだ。
その法的な裏付けとなっているのが、近年改正と厳格運用が進む中華人民共和国治安管理処罰法である。行政拘留の期間延長や再犯者に対する処罰の加重、さらには違法取引に関与した賃貸物件の所有者に対する罰則の新設など、網の目はかつてないほど狭められた。身元確認なしでの宿泊や部屋の提供自体が重い刑事・行政リスクを伴うため、仲介業者はより巧妙な偽装工作を強いられている。