従来の悪役は、世界征服や復讐、純粋な破壊衝動に突き動かされることが多かった。しかし、彼の原動力はどこまでも乾いた「興味」と「好奇心」だ。「己の理解を超えるものを作り出したい」という純粋すぎる欲求は、ある種の科学者やクリエイターの狂気にも通じる。
この目的意識の希薄さすら孕んだ純粋な好奇心が、現代の若者層に奇妙なリアルさをもって受け入れられている。「善悪の彼岸」でただ実験を繰り返し、自らすらも実験材料に仕立て上げる軽やかさ。その姿勢は、予測不能な時代を生きる現代人の潜在的なニヒリズムと共鳴しているのかもしれない。